【解説】介護離職を防ぎ、誰もが安心して働ける職場へ
働き盛りのビジネスパーソン。少子高齢化が進む現代において、家族の介護はもはや特別な問題ではなく、多くの家庭が直面する現実です。共働き世帯が増える中、現役世代が介護の負担を抱えると、仕事との両立は想像以上に難しくなります。
やりがいを感じていた仕事、せっかく築いてきたキャリアを諦めざるを得ないかもしれない…
そんな不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
明日は我が身とも言えるこの問題。
「介護離職」につながる可能性があります。
これは企業にとっても大きな問題となっていくのではないでしょうか。
この記事では、介護離職の現状と課題、そして企業が取り組める具体的な支援策について解説します。
介護離職とは?
介護離職とは、家族や親族の介護のために、仕事との両立が困難になり、仕方なく辞めてしまうことです。
介護は24時間体制で、突発的な対応が必要な場合もあります。
仕事と介護の両立は心身に大きな負担がかかり、周囲のサポートも得られない状況では、
離職という選択をせざるを得なくなるのです。
介護が必要になるのは、一般的に70代~80代以降であるため、介護を担うのは40~50代の現役世代が多いです。
企業の中核を担う世代の離職は、企業にとっても大きな損失となります。
介護離職の深刻な現状
令和4年の統計では、介護をしている人の半数以上が仕事と両立しています。
しかし、年間約10万人が介護を理由に離職しており、この数字は横ばいのまま推移しています。
2025年には団塊の世代全員が後期高齢者となり、国民の4人に1人が後期高齢者となる「2025年問題」を控え、介護離職はさらに深刻化すると予想されます。
なぜ介護離職は起こるのか?
最大の原因は、仕事と介護の両立による負担の増大です。
業務に加えて介護の責任も負うことで、心身ともに疲弊してしまいます。
特に、職場の理解やサポートが不足している場合、介護離職のリスクは高まります。
厚生労働省の調査によると、介護離職の主な理由は以下のとおりです。
- 介護休業などの支援制度が整備されていない、または利用しにくい雰囲気
- 代替要員がおらず、休業制度を利用できない
- 長時間労働や深夜勤務など、労働時間に問題がある
介護離職がもたらす問題:個人への影響
介護離職は、本人にとって望まない選択であり、様々な困難に直面します。
- 心身のストレス: 収入減による介護サービスの質低下や、介護による精神的負担の増大
- 経済的な不安: 収入減、介護費用増加による生活への圧迫、将来の年金への影響
- 社会からの孤立: 仕事をやめることで社会との繋がりが希薄になり、孤立感を深める
介護離職がもたらす問題:企業への影響
介護離職は、企業にも大きな影響を与えます。
- 人材の流出: 中核人材の喪失は、組織力の低下に直結します。人材不足の状況下では、代替要員の確保も容易ではありません。
- 業績への影響: ベテラン社員の離職は、生産性低下や業績悪化につながる可能性があります。
- 残業社員への負担増加: 離職者の業務負担が他の社員に集中し、モチベーション低下やさらなる離職を招く可能性があります。
介護離職を防ぐための制度と企業の支援策
介護離職を防ぐためには、企業側の積極的な支援が不可欠です。以下は、企業が活用できる制度と具体的な支援策です。
1. 制度の活用と周知徹底
- 介護休業給付: 最大93日間の休業取得が可能で、給付金も支給されます。
- 介護休暇: 年間5日間、介護のための休暇を取得できます。
- 所定外労働等の制限: 残業や深夜労働の制限を設けることができます。
これらの制度を周知し、利用しやすい環境を整備することが重要です。
2. 働き方の見直し
- 時短勤務、フレックスタイム制、時差出勤など、柔軟な働き方を導入することで、仕事と介護の両立を支援します。
3. 社内コミュニケーションの活性化
- 1on1ミーティングや情報共有の場を設けることで、相談しやすい雰囲気づくりを心がけます。
4. 相談窓口の設置
- 社内または外部の相談窓口を設けることで、気軽に相談できる環境を提供します。
5. 助成金の活用
- 両立支援等助成金を活用することで、企業の負担を軽減しながら支援体制を強化できます。
6. メンタルヘルスへの配慮
- ストレスチェックや相談窓口の設置など、従業員のメンタルヘルスにも配慮したサポートを提供します。
まとめ
介護離職は個人にとっても企業にとっても大きな損失です。
企業が積極的に支援策に取り組むことで、従業員が安心して働き続けられる環境を整備し、介護離職を減らすことができます。
誰もが安心して働き続けられる社会の実現を目指し、共に取り組んでいきましょう。
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