私にもできた!介護と仕事の両立、最初の壁を乗り越えて

夕焼けの空を見ながら、ため息をつく日が続いていた。
仕事と介護の両立は、想像以上に大変だった。

近所に住む義父が脳梗塞で倒れてから、私の日常は一変。
仕事と介護の板挟みで、心はいつも重く、将来への不安に押しつぶされそうだった。

でも、ある日、同僚の言葉がきっかけで、小さな一歩を踏み出すことができた。
それは、訪問介護サービスの利用。

最初は不安だったけれど、ヘルパーさんのおかげで、義父にも笑顔が戻り、私も前向きに進んでいけるようになった。
これは、私が介護と仕事の両立を乗り越えた、最初の壁についてのお話です。

夕暮れの帰り道


夕焼けに染まる街を自転車で駆け抜ける。
スーパーのビニール袋がカゴの中で揺れている。
パートを終え、夕食の買い出しを終えた帰り道。

45歳の私は、いつもと同じ景色にため息をつく。
今日は金曜日。
週末は家族でゆっくり過ごしたいのに、
心は重く、どこか空虚だった。

変わらない日常と変化した現実

まだまだ幼い子供たち、おやじギャグを炸裂させる息子、活発でおませな娘
そして家のことに無頓着な運送業の夫。
どこにでもある普通の家族。

でも、近所に住む義父が脳梗塞で倒れてから、私たちの生活は一変した。
要介護2と認定され、利き腕の右半身に麻痺が残った義父。

スーパーの弁当で食事を済ませ、家の中はいつも散らかり放題。
「どうにかしないと…」と思いながらも、目を背けていた。

頑固で人の意見を聞かない義父は、助けを必要としながらも、人を寄せ付けようとしない。
「人に迷惑をかけたくない」というのが彼の口癖だった。

まるで私を突き放すように。

孤独な闘い


会社で仕事と介護の両立支援セミナーを受けた。
資料には「共感」「寄り添う」といった言葉が並んでいた。

でも、他人事のような雰囲気の職場で、若い同僚の冷たい視線や陰口が突き刺さる。
「あの人、最近疲れてるよね」「介護大変そう」。

家族だからこその葛藤、本音のぶつかり合い。
そんな生々しい現実は、綺麗な言葉では片付けられない。
誰にも相談できず、一人で抱え込む苦しさ。
このままでは、仕事を辞めるしかないのだろうか。

義父を見るために仕事を辞めたら、子供たちの教育費はどうなる?

不安で胸が締め付けられる。
目の前は真っ暗闇だった。
出口はどこにあるんだろう。

誰かに助けを求めてもいいのだろうか。

一筋の光

会社でのセミナーが終わり、帰宅するとき電車の中で、同僚の佐藤さんの話が頭をよぎった。
佐藤さんも介護と仕事の両立で悩んでいたけれど、ケアマネージャーに相談し、訪問介護サービスを利用し始めたという。

「最初は自宅に他人を入れることに抵抗があった義両親も、今ではヘルパーさんとの関係を築き、穏やかな日々を送っているらしいのよ」
と、佐藤さんは少し照れくさそうに話していた。

「まずは週1回の買い物をしてもうことから始めてみたら?」という言葉が、
どんよりとした私の心に響いた。

そうか、ヘルパーさんにお願いするという方法があったんだ。

勇気を出して

「お父さん、週に一度、スーパーに買い物に行ってもらえるサービスがあるんだけど…お願いしてみない?」
勇気を出して義父に提案してみた。

案の定、渋い顔をする義父。
窓の外では、色づいた葉が一枚、ひらりと舞い落ちる。
まるで義父の揺れる心境を表すかのように。
「人に迷惑をかけたくない」という彼の言葉の裏には、優しさと不器用さが見え隠れする。

かすかに震える声。頑固なその表情の下に、どれだけの葛藤が隠されているのだろう。
私は、ぎゅっと胸を締め付けられた。

それでも諦めずに、ヘルパーさんが来てくれるメリットを丁寧に説明した。
「一人でふらつきながら買い物に行くのは危ないんだよ」と、
本音を伝えることも忘れずに。

佐藤さんが教えてくれた、ケアマネージャーへの相談。私も早速連絡を取ってみた。

温かい光


そして数日後、義父は初めてヘルパーさんの訪問を受け入れた。

緊張した面持ちの義父だったが、ヘルパーさんの明るい声と手際の良さで、次第に表情が柔らかくなっていく。
ヘルパーさんは、義父の好きな野球の話で盛り上がり、あっという間に時間は過ぎた。
「昔はよく球場に足を運んだもんだ」と、義父が久しぶりに笑顔を見せた。

その日の夜、義父から「ありがとう」という言葉をもらった時、、、
胸の奥に温かいものがこみ上げてきた。

小さな一歩かもしれない。

でも、私にもできた。

介護と仕事の両立。

最初の壁を乗り越えた気がした。

未来への希望

それから数週間が経ち、義父はヘルパーさんとの時間を心待ちにするようになった。
家の中も少しずつ片付き始め、義父の表情にも明るさが戻ってきた。

同僚の冷たい視線も、以前ほど気にならなくなった。
「何かあったら相談してね」と声をかけてくれる同僚もいる。

私も少しずつ、介護と仕事の両立に慣れてきた。
まだまだ課題は山積みだけど、前向きな気持ちで進んでいける。

佐藤さんの言葉、そしてケアマネージャーのアドバイスが、私を支えてくれた。
いつか私も、誰かの支えになれるだろうか。

今はただ、目の前の小さな幸せを大切に、一日一日を積み重ねていこう。
そして、いつかこの経験を誰かに話せる日が来ることを願って。

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kaigoya

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